記憶術あれこれ

「最高の記憶術 場所法 平田直也著」を読んでみた

目次

本の外観

書評の第1回目に取り上げた理由

記憶術についての本の紹介をしようと思い立ち、第一番にこの本を取り上げます。その理由は、2021年2月時点のAmazon内の検索で「評価1位」のトップにきていたからです。

本自体はちょうど2年前に出版されたようです。記憶術の本は多数出ていますが、昔からあるので恐らく割と新しい本なのだと思います。それと、unlimitedでも読めるようになっていたので読者が増えたのだと思われます。

その高評価の理由。それをひも解いてみます。

この本は著者の頭の中のすべて!?

この本は「場所法」とのタイトルですが、実際には著者・平田氏の頭の中が全て記されている本と感じました。

なので、場所法でなくて様々な記憶術について触れています。しかもかなり奥深くまで切り込んでいます。

ということは、この本を読むためにプロフィールを知っておくことが重要ですね。

2020年一橋大学商学部を卒業した平田氏は、記憶術世界チャンピオンとしてテレビにも多数出演しています。

BSA-ブレインスポーツアカデミーというところに所属をしています。

この方の記憶術を学んだ理由はただひとつ、
面白いから。以上!です。

「記憶術は何の役に立ちますか?」と聞かれての感想です。役に立てようと思って学んだわけではない、単に記憶する事自体が楽しいから。と言っているのです。

ペルソナもはっきりしません。誰かの役に立つから、と書いているわけではないのです。試験に使える?という質問にも、試験や仕事は ”覚えにくいものが大半” とばっさり。

そう、まさに自分の頭の中にある事だけを記述していて媚びを売らない感じ。それがこの本の評価につながっているのではないかと思います。

記憶の良し悪しは生まれ持った才能で、これはどうにもならない。潜在記憶を引き出したりとか睡眠学習は怪しいとも書いています。でも、意識を使って覚える事で覚えようとしたものは確実に覚えて行ける達人にはなれる、と言っています。

それでは、中身に入ってゆきます。

場所法の教え方

場所法そのものを教える前に、まずリンゴとサメの2つのおぼえ方について解説しています。いきなり場所法の仕組みから入らないところは良いですね。

そして、場所の説明に移ります。

使うのはワンルーム。左回りに1番が玄関、2番がキッチンとか。10まで番号を付けてゆきます。自分の部屋を想像するのと違い、全員が同じイメージをするわけですね。

そして場所の使い方ですが、数々のテクニックが書かれています。例を挙げると蛇口理論。

例えば2番がキッチンだとしたら、そこに入れてゆく言葉のイメージは必ず蛇口から出すと決めるというものです。これは、多くの言葉をこの場所に入れた経験から作った著者のルールです。

このように、長く使っての経験が随所に見られます。

著者自身は20ルート計400の場所を持っているそうです。さすがプロですね。普通はこんなに持てません。

数字記憶

この本の多くを数字記憶について割いています。これはまさにメモリースポーツの世界ですよね。

著者はBSAーブレインスポーツアカデミーという組織に所属しています。ここはまさにメモリースポーツとして記憶を楽しんだり記憶の大会に出場する事を目指しています。

その世界は、私は踏み入れた事がないのですが、普通に読んでいて面白いものです。それは最近有名になってきたe-スポーツに通ずるものがあります。

100桁の数字を覚えるためにどうするか。別にこれをやらなくても、どのように覚えるかを知るのは面白いと思います。しかも、この大会の問題とか解答用紙なども具体的な形で見せてくれています。こんな感じで↓

これを見るだけでもへぇですよね。

タグ付け法

私自身がこの本の中で一番面白いと思ったのがこれです。これは著者が編み出した方法と書いています。

そのタグづけの方法ですが、顔と名前を一致させるところで例を挙げます。

例えば佐藤さんの顔を覚える場合、その歯に注目して、歯が白い⇒虫歯がない⇒砂糖は採らない⇒佐藤 とおぼえるのだそうです。

これだとサラっと読めてしまいますが、今までの名前のおぼえ方の違いを示します。

マイクさんのおぼえ方で、マイクさんの顔を見て、この人がマイクを持って唄っているイメージをする方法もあります。しかし、決定的に違うのは、顔の特徴に注目する事なのです。

マイクさんが金髪⇒派手⇒普通でない姿⇒舞妓さん とおぼえる。まさに姿の特徴からタグ付けするというわけです。

このようにして、一つの顔のイメージに会社名とか役職、誕生日なども紐づけできるのがこのタグ法だそうです。

いやはや、とても良いですね。

英単語のおぼえ方も

本の最後の方に英単語のおぼえ方もありました。英単語の記憶術での覚え方の発信をしている私としてはとても興味ある題材です。

そのトピックをひとつ取り上げると、やはりタグ付けでした。単語の意味をイメージ化してタグ付けする。例えばdoctor ならば、ドイツ語でドクトル、毒取る、だから医者。

という具合です。

という事で記憶術をかなり使っている私でも参考になる事が多々ありました。入門書としても良いですね。是非、一度目にしてみる価値のある1冊だと思います。

2021年2月現在、amazon unlimited で実質無料で読めます。1冊の本代より安い上に30日間無料なので使わない手はありません。

入っていない方はこちらから↓