記憶術あれこれ

「最強記憶術」読んでみた!

覚えたら一生忘れない「最強記憶術
川村明宏 川村真矢 著
KADOKAWA 刊

目次

読者対象

※読者対象は、あくまで個人的な感想です

川村氏はジニアス記憶術の開発者でプロの記憶術伝道師。記憶に関しての書著を数多く出している文筆家でもあります。

この本はいわゆる記憶術というよりも、脳を鍛える脳トレ系の本です。記憶をアップさせるための方法だと冒頭の説明でも書かれています。

特にある年齢以上の方向け。「2Fに上がって何を取りにいったか忘れる」とか「今が何年か思い出せない」とかが例となり、その挿絵に登場する人を見てもその想定が分かります。

書き方は完全に初心者向けなのですが、その一方でひと通り記憶術を学んだ人に向けて習慣化を勧めるつもりもあるのかな、と思える部分も見られます。

本の構成

  1. 記憶力をアップさせる「仕組み」
  2. 記憶力をアップさせる「公式」
  3. 記憶力をアップさせる「イメージ力」
  4. 記憶力をアップさせる「五感トレーニング」
  5. 記憶力をアップさせる「繰り返しの力」
  6. 記憶力をアップさせる「習慣」

まず「1.仕組み」は一般的に記憶術の世界で言われている事のおさらいです。脳内の伝達の方法とか忘却曲線の説明などが簡単に書かれています。

「2・公式」はK=i×rの説明です。
K = 記憶
i = impact 五感の刺激
r = repeat 反復

です。この中でiについて詳しく書かれています。

記憶を強くするには五感を使うべきもの。料理が良い例で、さわり心地や匂いなどといったレシピ等書き物では描かれない触覚を使って覚える事が重要というものです。

このような事を「iの簡単な増やし方」として6つ例を挙げています。

「3.イメージ力」では色と形のイメージを強くするための訓練について書いています。色は実際にカラーページで色彩の絵を見させて頭の中でそれを合成させたりしています。形はモノの形の合成や分解といった脳内作業をさせる実験もあります。

そして「4・五感トレーニング」では味覚や嗅覚それぞれについて、感覚を記憶に結び付ける方法が書かれています。例えば名刺交換をした時に、あえて名前について質問をするとか、本は音読したり、実際に書いてみるとかです。

トレーニングの例としては、宮沢賢治の文章の一説を挙げて、それを読んでみて下さい、のような事がありました。

「5.繰り返しの力」だけは勉強の仕方になっています。試験勉強になぞらえて反復の仕方を解いています。復習のタイミングとか回数とかです。

そして「6.習慣」は、普段の生活の中で意識的に五感を使う方法が述べられています。カンタンでもなかなか続けるのが難しい事です。

例えば、ショッピングでは色を意識して選ぶとか、寝る前に思い出してみるとか分かりやすくて誰でもすぐに出来る事もありましたが、なるべく小さい音で音楽を聴いて聴覚を鍛えるなどという珍しい習慣化などもありました。

総論

この本は読み物としてサラッと読めます。やり方も簡単ですが、要は習慣化する事を勧める本です。何度も見返して自分を修正するトレーニング本でもあります。

脳トレを日々の仕事や生活の中でやる。習慣化は難しいものですが、自分にできそうな事をこの中で見つけられれば良いですね。

 

aga中の挿絵