目次
パフォーマンス自体はウソではない
記憶術パフォーマンスとは、テレビやYouTubeで見る事のできる、瞬間記憶です。
こんな感じです。⇩
記憶術の素晴らしさを見せるのに頻繁に使われるもので、誰でも最初見た時はなかなかインパクトの強いものです。
すっげぇ~~~
しかも、これは誰でもすぐに出来るようになるという。
そんな触れ込みになっていると思います。
さらに、すっげぇ~~~~~~
と思えるものです。
あの瞬間記憶はまやかしでも何でもなく、本当の事です。
しかも、誰でもすぐに出来るようになるというのも本当です。
あのパフォーマンスは場所法という記憶術を使っています。
仕組み自体はとてもシンプルで10分もあれば理解できます。そしてあのパフォーマンスも正味1~2時間あれば出来るようになるのです。
実際、簡単なのでやってみると分かります。
ご興味のある方はこちらへ ➡ 場所法のページへ
パフォーマンスは確かに誰でも1日あれば出来るようになる
しかし、そこに期待が生まれます。これがやっかいなのだと思います。
あれを見て抱いてしまう期待
期待その1:何でもスラスラ頭に入るようになる
あれを見て、そのコツをつかんだら、このようになるのではないかと期待するかもしれないのです。
授業を聞くと、それがそのまま記憶される
教科書は読むだけで、スラスラ頭に入るようになる
でも、そんなことは絶対にありません。
そしてもうひとつ誤解しそうなのは、瞬間的に覚えるあのペースです。
期待その2:丸暗記のペースが速くなる
あのパフォーマンスで覚えるコツは言葉を絵にして頭に入れる事です。
で、コツをつかめば言葉を瞬時に絵にできると思われるかもしれません。
パフォーマンスでは20の単語を2~5分で覚えています。
ちょっとやれば誰でも10分~20分で覚えられるようにもなります。
そうすると、こんな計算が出てきてもおかしくはありません。
あのペースで言葉が覚えられるなら、200なら50分、1000なら250分=4時間ちょっとで覚えられる。
とすると・・・
教科書1冊も1週間あれば頭に入るかも
などと思っても致し方ないですよね。
そして家に帰ってテキストを開き、100の言葉を抜き出したとして、
それでぶつかる壁があるのです。
現実の暗記はあのようにはできません。
そうなのです。すべての勘違いはこれです。
記憶術は頭が良くなるわけではない
そこを勘違いして記憶術に挑むと失敗します。
失敗から学びましょう。
現実的な勉強や試験では様々な壁が立ちはだかる
知り合いで、私と同じ記憶術講座を受けた人がいました。
その講座では1日の終わりに100の単語を覚えられるようになっていました。
もちろん、あのパフォーマンスも出来るようになったのです。
友人もそれには感激していました。
それから時が経ち、その話題を出したところ彼の反応はこうでした。
「ああ、そんなのやったね。忘れてたよ」
彼は仕事や生活はおろか、試験にも使えなかったそうです。
それは何故だったのでしょう。
試験勉強では言葉のレベルが違う
パフォーマンスで扱う言葉はたいてい、こんなものです。
👇
しかし、資格試験やテストで覚えるとなるとこのような言葉になります。
👇
元素記号、歴史説明の重要箇所、商法を挙げてみました。
一目瞭然。
イメージするのに”教室”は簡単だけど“町方支配場”は難しいという事なのです。
そもそも、そのままイメージするには難しい言葉になっているのです。
そして、重複する言葉も多くなります。
元素記号では1番から20番だけでもホウ素、窒素、ケイ素、と似通った言葉になっています。
歴史は江戸幕府開府直後の事柄ですが、この中だけで“江戸”が3回出てきます。このペースでいけば、100の中に“江戸”の文字が何個出てくるのかは容易に想像できますよね。
となると、“江戸”という絵をいくつも持たなければならなくなり、混同してしまう事になるのです。
商法も”商業”や”営業”が頻繁にでてきますよね。
これは、何の分野においてもほとんど共通するのではないかと思っています。
勉強する言葉はほとんどイメージしにくい言葉
何を覚えるにも同じ文字が頻繁に登場する
これが実際にやってみると厄介なのです。
それでも試行錯誤でクリアして覚えられるようにするとします。
しかし、その先にも問題があります。
数的な限界が、意外にも早く来てしまう
記憶の宮殿・レクター博士が1000の場所を持っているという事ですが、
それは神業です。普通の人にはまず無理でしょう。
場所法については別に細かく説明しますが、ぶっちゃけ、普通の人はせいぜい場所は100つくるのがせいぜいです。
私は以前は100も持てませんでした。色々な本で調べ試行錯誤もして100に挑みましたが、60~70が限界でした。
それもなかなか使わないので結局50程度に落ち着いたのです。
でも、場所は何回でも使えるというのは本当で、私もその50の場所を使って様々覚えました。
でも、それを100回も200回も使えるわけではありません。
せいぜい10回くらいではないでしょうか。
それも、ジャンルが違ったらの話です。
- 47都道府県の人口順
- 世界の人口ベスト50
- 特産品トップ50
- 企業ベスト50
みたいな全く違うジャンルならまあ大丈夫でしょう。
しかし、先ほどの例でも同ジャンルは似た用語が頻繁にでてくるので、
同じ場所に配置してゆくわけにいかないのです。
混同してしまいます。
江戸時代を覚えようとして200の単語を作って50の部屋を4回、回そうと思ってもそれは困難です。
私の場合、EU諸国の加入順の場所でG20諸国を憶えようとした時に混同してうまくおぼえられませんでした。
また、応仁の乱から江戸時代の終わりの慶應という年号を入れた場所に、後から日本の歴代首相を入れようとして混同した事もあります。難しいのです。
結論として、試験や勉強で
パフォーマンスのようには覚えられない
というのが結論です。
それを理解して、そして記憶術に挑んでほしい
悪い事ばかり書きましたが、それでも記憶術を知っているのと知らないのでは記憶に差が出るのは確かです。
あのパフォーマンスはすぐに出来るようになるのですが、その後、記憶術で出来る事、出来ない事、つまづきそうな事、などを分かった上で使うと良いと思います。
歴史も化学も物理も法律も。全てを場所に入れてゆくのではなく、厳選した中核事項を洗い出してゆく事をする方法を身につければ良いのです。
また、場所法ではなく別の記憶術を混ぜながらやるという方法もありますし、
覚える時間をずらしてやるというテクニックもあると思います。
できる事、できない事を理解すれば
記憶術は試験に必ず役立つ
私はあくまで記憶術の いちユーザーです。
講義ビデオなど出してても、本来は教える立場にはありません。
とにかく日本中の人が記憶術を使えるようになって欲しいと思っています。
つまらない暗記地獄から逃れてほしいし。
そのためにも、プロとして教えている日本中の方々にもがんばってほしいです。
彼らも、この障壁を乗り越える術をそれぞれ持っているでしょう。
という事で、本日の結論です。
記憶術パフォーマンスをうのみにせず、
まずはやり方をマスターして試行錯誤してほしい
です。